顧客管理の重要性と危険性

このページでは、なぜ、自営業や中小企業にも顧客管理が必須なのか?顧客管理を放置したことで失敗した例についてお話ししていきます。そして、顧客管理の重要性や、具体的にどんな情報を管理すればいいのかも…
とは言っても、「顧客管理とか面倒臭い…」と苦痛に思う人も多いかもしれません。しかし、次の話を聞いたら、そうも言ってられなくなるでしょう。
潰れる会社の共通点が顧客管理だった理由
実は、顧客管理をしていないばっかりに、事業をたたんでしまう・・・ということは珍しくはありません。そして、何よりも怖いのは、原因が顧客管理だということに気付いていない、ということです。しかも、新規顧客が多いにも関わらず。
一体、どういうことか?
理由は簡単です。顧客管理ができていないということは、どの人がいつどこで、どのタイミングで商品を購入したのかを把握していない、ということです。つまり、今まで買ってくれた大切なお客さんをないがしろにしてしまい、既存顧客よりも新規顧客ばかりに目が向いてしまっているのです。
つまり、顧客満足度が低いという事。
多くの人が勘違いする顧客管理の意味
- 「顧客管理は、どんな人が多いのかを把握するためのものだよ」
- 「顧客管理は、いつでも顧客を取り出して調べられるようにするためのものだよ」
- 「いいや、他者と組むときに顧客リストが使えるからだよ」
と思っている人がほとんどです。もちろん、これらは重要ですし、把握しなければならいことの一つです。しかし、顧客管理の重要性として、最も見なければならない点は顧客満足度です。そして、お客さんを飽きさせないためのアプローチ回数です。
理由は簡単で、アプローチ(連絡)が少なければ、いつの間にか忘れ去られて、顧客が去っていくからです。一回購入したから「はい終わり」なんて思っていると、新規顧客を獲得するだけで精一杯になって疲れ果ててしまいます…。少し手間かもしれませんが、連絡をこまめに取り続けることで、信頼を得ることができ、高額商品やサービスの購入率を上げることができるからです。
では具体的に、顧客管理をしないことで起こってしまう、最悪のケースとは何か?
顧客管理をしないことで起こる最悪なケース
【最悪なケース①】顧客がどんどん離れていく
社長や事業主にとって、最悪なのは、顧客がどんどん離れていくことではないでしょうか?実際、多くの事業主が大切な既存顧客を放ったらかしにして、自分の商品やサービスを買ってくれないと嘆いています。つまり、別のライバル会社に浮気されてしまうのです。いや、浮気どころではなく離婚です。一度離れたら戻ってくるのは難しいでしょう。
【最悪なケース②】顧客から嫌われてしまう
最悪なケースの二つ目は、顧客から嫌われてしまうことです。とは言っても「サポートはもう終わったんだから、別に連絡しなくてもよくない?」と思う人が少なくありませんが、それは勿体ないです。もし今後も商品やサービスを購入し続けて欲しい場合は(または紹介を増やしたいのであれば)、サポートが終わった後のアプローチはとても重要です。
その理由はシンプルで、お金の関係だけになってしまうからです。
思い出してみてください。あなたが学生の頃、テスト前の時だけに増える生徒を見たことはありませんか?普段は友達のいない生徒が、テスト前の時だけに「ノート見せてよ〜友達でしょ?」と一気に友達が増えるのです。ビジネスにおいても同じことが言えます。つまり、お金を支払った時だけサポートしてくれる「都合のいい会社」になってしまう訳です。言い換えると、「会社の利益ばかり考えている社長」と思われてしまいます。
顧客管理をしないことで、既存顧客に目を向けなくなってしまうので、連絡も取らずに時が過ぎてしまい、そのまま嫌われて離れていくことがほとんどです。「なんだ、やっぱりただのお金の関係だったのか」と思われて関係が途絶えますし、良顧客になる可能性の高い人ほどこう言った関係を嫌います。
とは言っても、デメリットはまだまだあります。
【最悪なケース③】紹介が増えない
顧客管理ができていなければ、嫌われてしまい、顧客が離れていくので、紹介が増えることはありません。「あそこの会社、本当にオススメだよ!」という紹介をされない会社の共通点は、顧客がそれほど満足していない可能性が高いということです。本当に満足していたら、紹介が絶えなくなるはずだからです。
顧客管理の重要性を理解するためには、紹介の連鎖を生み出すことが可能だということに気づかなければなりません。あなたの事業は、紹介の連鎖でいっぱいになっているか足元を見つめ直しましょう。
【最悪なケース④】本来のターゲットが分からない
マーケティングやセールスライティングについて学んでいる人ならご存知かもしれません。というのも、顧客管理をしていないと、今現在のお客さんのニーズが何も見えず、年齢や商品購入のきっかけ、タイミング、買った理由を具体的に知ることができません。とは言っても「いや、お客さんとはよく関わってるから数値化しなくても理解しているよ」と思う人が少なくないと思います。
しかし、ただの感覚として覚えておくのも重要ですが、数値化することで見える部分が全く変わるので、気付けることがたくさんあります。何より、今現在、どんなお客さんが多いのかを把握することができます。つまり、ターゲットが明確になるので、打ち出し方を変えればより売上を上げることができるのです。
【最悪なケース⑤】事業の成長が遅い
もし、高速道路を時速100kmで走行している時、目隠しをしながら運転したらどうなるでしょうか?
当然ですが、そのうち衝突してこっぱミジンになるでしょう。実は、顧客管理をしないことは、それと同じで目隠しをしている状態と同じです。どのように事業を進めていけばいいのか分からず、たとえ分かっていても勘違いだった、なんてことは普通にあるので、正しい方向へ進むことができません。事業の成長スピードが遅く、モザイクの道を進み、霧の中を迷いながら運営することになります。
【最悪なケース⑥】顧客単価が圧倒的に低い
顧客管理をしていない人の共通点。それは、顧客単価が圧倒的に低いということです。一人一人の売上が低いのです。なぜなら、顧客管理をすることで、どの人に新規商品やサービスの案内をするのか、または優良顧客の人からどの商品で再度購入してもらうのか、売上対策ができるのです。
しかし、顧客管理ができていなければ、何がどうなっているのか全く分からないので、既存顧客に再度の案内をすることがほとんど無くなります。ですので、顧客単価が低くなって、年商で計算すると雲泥の差になってしまうのです。
では具体的に、顧客管理をすることでどんなメリットが得られるのでしょうか?
顧客管理で事業が発展する3つのメリット
【メリット①】優良顧客やあなたのファンが増える
顧客管理は、お客さんとの関係作りが目的なので、連絡を怠っているお客さんに対してダイレクトメールやハガキ、メールなどの連絡を取って関係を保つことができます。連絡を取り続けることで、あなたの存在を忘れかけていた顧客は再度思い出して、商品やサービスを購入してくれたり、こちらから営業やご提案のメールを送って購入してもらうことが簡単になります。
スティーブン・コヴィー博士の著書『7つの習慣』にも紹介された「信頼残高」を増やすことができるのです。信頼残高とは、連絡をこまめに取り続けることで得られる積み重なった信頼のことを言います。また、ちょっとしたサービスなども信頼残高に含まれます。この信頼残高を保つことで、あなたの高額商品やサービスを購入してくれる成功率をグンっと上げることができるのです。
【メリット②】長期的な良い関係づくりができる
顧客管理は、あなたとお客さんを一時的ではなく、長期的な関係に導いてくれます。「一回購入したからおしまい」となる必要はありません。関係ができたお客さんは、あなたの商品サービスを購入し続けてくれて、更なるお客さんをも紹介してくれます。散らばった既存顧客のデータを放置して、訳が分からなくなる必要はありません。
【メリット③】新規顧客が増える
顧客管理は、お客さんの満足度を上げてくれるので、お客さんはあなたに協力的な姿勢で対応してくれます。具体的には、お客さんがあなたの代わりとなって、新規顧客を増やしてくれるようになります。広告費を出したり、自分から営業をしに行ったり、ビジネス交流会に参加する必要はありません。あなたの顧客があなたの代わりとなって紹介を呼び寄せてくれるのです。
では、具体的にどのような顧客管理をすればいいのか?
これが、売上をもたらす顧客管理方法
多くの事業主や企業ができていない顧客管理内容です。
- 会社情報(会社名・事業名・住所・従業員数・その他詳細)
- 購入情報(何を購入したか?・購入頻度・購入合計額)
- 購入したきっかけや理由(悩み・問題・不安・心配・願望・欲求・将来の夢)
- アプローチ回数・最終アプローチ日
- 顧客の趣味・プライベート内容・誕生日・記念日・好きな食べ物・嫌いな食べ物
- その他集められる情報の全て
これらの内容を知り尽くしていたら、あなたの事業の成功は間違いないありません。もちろん、冗談で言っているのでもありません。理由は簡単で、これだけの情報が揃っていれば、2回目の購入を簡単に促すことができるからです。では、それを具体的に説明していきます。
1.会社情報を聞き出す
まず、あなたのお客さんとなるときに、必ず会社情報の入力、または手書き用紙か何かに記入してもらうと思います。ここは問題ないと思いますが、事業の方向性やターゲットなども聞けるとより良いでしょう。
2.購入情報を計測する
これはとても重要な項目です。
最初に購入した物はなんなのか?購入頻度はどれくらいか?どのくらいの期間があいて購入するのか?今までの購入額の合計はいくらか?などを調べ、記録しておきましょう。なぜなら、購入頻度や購入金額を見ることで、その人の「傾向」を理解することができます。
「そろそろまた買ってくれるかも」とか「おそらく次はこんなものが欲しいんだろうな」と予測をつけることが可能です。それを知っていれば、次はどんな商品サービスを出そうか目処が立つとは思いませんか?購入情報は重要です。
3.購入したきっかけや理由
どんな人であっても、必ず「購入した理由」が存在します。必要がないのに買うわけがありません。なので、「なぜ、これを購入したのか?」「どんな悩みや問題を抱えて購入しようと思ったのか?」「これを購入することで、どんなことを期待して買ったのか?」などを深掘りしてヒアリングする必要があります。
なぜなら、その「理由」が知らなければ、ホームページや広告、チラシなどの文言に何を書けばいいのかがわかりません。
例えば、英語の教材を買ったお客さんがいたとします。その人が買った理由を知らなければ、何を言ってセールスすればいいのか分かりません。「もしかしたら外国人の友達が欲しいのかな?」と思って、「外国人の友達と英語を話したいあなたへ」という謳い文句を作ったけど反応が全くない・・・という場合には、その文言は間違っています。そして、ヒアリングをしてみると、「実は仕事で昇格するためには英語が必要なんだよね」という理由が分かったなら、それに合わせて謳い文句も変わります。
「英語を身に付けて仕事で昇格したいあなたへ」という文言に変わります。もちろん、全員に響く言葉ではありませんが、購入したきっかけを探っていくことで、どんな人が多いのかを知ることができ、セールス文章に役立てることができるのです。
なので、購入理由も含め、悩みや心配事、不安、願望なども深く聞き出して記録しましょう。
4.アプローチの回数・アプローチ最終日
少し面倒くさいかもしれませんが、これも重要項目です。
というより、すべて重要なので、重要でないものはありません。
というのも、アプローチ回数やアプローチ頻度数、そして最後に連絡を取った日を知ることで、お客さんが離れていかないためのアプローチを心がけることができるからです。
連絡を取らない顧客は、そのままどこかへ消えてしまいます。これは本当です。面倒臭い項目の一つですが、どうにかして、この頻度数や最終日が分かるようにすると良いでしょう。
5.顧客の趣味・プライベート内容・誕生日・記念日・好きな食べ物・嫌いな食べ物
もしかすると、ちょっと驚かれたかもしれません。なぜ、こんなことを知らなきゃならないのか?そして、なぜ記録しなければならないのか?理由は簡単です。仲良くなって長期的な関係になれるからです。
事業にとって一番しんどいのは、常に入ってくる新規顧客との対応です。しかし、既存顧客が回れば、多くの場合疲れ果てることはありません。既存顧客のことを深く知って記録しておきましょう。サンキューレターの内容にも使えるので、大いに役立ちます。
6.その他集められる情報の全て
これは、5番にほぼ近いかもしれませんが、お客さんの知れる情報があればどんどん記録をしてしまいましょう。お客さんの奥さんのことやお子様のことでも構いません。
というより、一度話した内容などは、ちょっとしたことでも記録して覚えておくと、「覚えていてくれたんですね」と感動してくれます。名前も、できればフルネームでしっかり覚えておきましょう。
顧客管理の重要性
さて、顧客管理がいかに重要なのか?もうお分かりの通り、顧客管理とは、お客さんとの関係作りに役立てるためのものであり、お客さんから新規顧客の紹介を増やすためのものであり、お客さんが競合ではなく、ずっとあなたの商品やサービスを買い続けてもらうための管理をするためにあります。もっと言うと、お客さんの満足度を管理するためのものです。
自社では、きちんと顧客管理ができているでしょうか?
お客さんの満足度は図れてい流でしょうか?
一度っきりのお客さんリストが増えていっていないでしょうか?
連絡を取らなさ過ぎて、今頃連絡できないよ・・・
なんて思っていないでしょうか?
もしその答えがYESなら、今するべきことは、顧客管理システムを購入するか、エクセルやNumbersで今までのお客さんを打ち込んでいくことです。そうすることで、あなた自身の頭が整理されて、今まで気付かなかったチャンスに気付けるはずです。
弊社でも現在使用している顧客管理システムからリニューアル予定です。
すぐには変わらないかもしれませんが、数ヶ月後、驚くような違いが見られるでしょう。

4年間経営した会社を倒産後、再度起業したインターネット広告代理店(エックスラボ)を3期目で年商約10億円グループにまで成長させる。集客をしたい中小企業の経営者や大手企業の担当者、同業他社までも参加するセミナーを開催する起業家。広告マン兼マーケッター。
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